原子力発電所事故についての対立する主張

専門知識が要求される話に関しては、素人としては専門家の主張を疑いつつも信じる他無い。


原子力発電所と健康
buveryの日記 http://d.hatena.ne.jp/buvery/



ウォルター〔高木(訳)〕(1999)による http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/EV_KRR_R1.html

 ではここで、原子力によるリスクをみてみます。多くの人々が、この技術の存在を許容することについて決定権を持たないと感じているので、私はこれを「環境・境遇」の分類に入れることにしました。
 第5章でみたように、原子力のリスクに関する詳細な研究は、原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)によって1970年代半ばに行われました。原子力産業界の中で、NRCは安全問題に関して非常に保守的であると考えられています。彼らは、考えうるあらゆる事故結果を分析する際、常に最悪のことを仮定します。規制者として、そうした立場を取るのは一般に適切な姿勢といえるでしょう。損失寿命を算出する彼らの研究結果は、原子力産業によって平均的米国人が0.05日(約1時間)のLLEを強いられているというものでした。ここでこの計算は、現在の約5倍の原子力発電設備があり、私達の電力の全てが原子力で賄われていると仮定しています。
 あなたはこれが信じられるでしょうか? 最悪のシナリオを考慮したデータが示す結果がこれなのです。繰り返させてください。現在の発電割合が21%である原子力によってもしも全ての電力を発電したとしても、米国の公衆に及ぼされる最大のリスクは、約1時間の寿命の短縮に過ぎないのです!
 これを聞いて、何人かの人はこう言うかもしれません。「あっそう。でも原子力推進者が言うことでしょう。これをどう信じろって言うんだい?」 いうまでもなく、米国には、原子力産業の欠陥のみに焦点を合わせる反原子力グループがあります。これらのグループの中で、「憂慮する科学者同盟」(UCS: Union of Concerned Scientists)は、おそらく最も批判的で、遠慮なく意見を述べる集団です。マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置くUCSは、マサチューセッツ工科大学に所属する数名の教職員の支持を得ていることを誇りにしています。そのグループは、NRCの研究について厳しく疑問を投げかけ、そして真の健康影響はNRCの結果より約40倍高いと主張しました。これを基にすると、原子力によるLLEの計算値は、約2日(40×0.05)ということになります(5)。例え彼らの計算が正しかったとしても、原子力のリスクとは、私達の行動、習慣、および日常生活に当然のごとく備わっているリスクほどには大きくないことがお分かりいただけることでしょう。

原子力発電所の工期

原発よりお気軽なGTCC発電、無人運転も可能 - ZAK×SPA! - ZAKZAK http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20110712/zsp1107121046001-n1.htm

ちなみに工期も、原発の7年に対してGTCCは2〜3年程度だという。


Windenergy CLEAN ENERGY FACTORY Co.,Ltd. http://www.cef.co.jp/windenergy/advantage/index.html

原子力発電所の工期は条件にもよりますが、一般的なもので4年程度かかります。それに比べ風力発電サイトの工期は短く、およそ1年半程度で済みます。


原子力発電所の建設工事 (02-02-02-03) - ATOMICA - http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-02-02-03

原子力発電所の建設工期は、立地条件、原子炉型式、出力等により多少変わるものの、岩盤検査から営業運転開始まで、4年程度を要している。

放射能事故時に被曝許容量を変更するか否か

欧州放射線リスク委員会(ECRR)科学議長 「子どもの年間被曝量20mシーベルトは犯罪的で無責任」 - BLOGOS編集部 - BLOGOS(ブロゴス) http://news.livedoor.com/article/detail/5725347/?p=2

日本政府は犯罪的なくらい無責任。このレベルの放射線に子供達がさらされると後で大変な事になる。事故後に基準値を上げるとか、全く理解できない。

放射能を恐れすぎるな、フクシマの危機は過ぎた。 - BLOGOS編集部 - BLOGOS(ブロゴス) http://news.livedoor.com/article/detail/5699797/?p=3

政府は許容数値の情報を何度も変更することにより、国民が混乱するのです。
しかし、放射能事故が発生した場合、
平常時の基準値よりも高い数値が設定されるというのは標準的な規則です。

チェルノブイリ原子力発電所事故に由る被曝死者

竹田恒泰チェルノブイリで5万5千人死亡」 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/751928


放射能を恐れすぎるな、フクシマの危機は過ぎた。 - BLOGOS編集部 - BLOGOS(ブロゴス) http://news.livedoor.com/article/detail/5699797/?p=4

これまでの原子力エネルギー産業発展の過去の歴史の中で、
原子力エネルギー施設における事故または事象によって死亡した方の人数は全部で60名です。
原子力エネルギー産業の全歴史の中で、です。
そして、237名の方が、高い放射線量を浴び、これによる健康被害が確認されています。
この数値が、原子力エネルギー産業における安全性を語るうえでの第一の指標となるわけです。
ちなみに、この数値には、チェルノブイリ事故によって基準値を超える高い線量を被ばくした方々、
そして、チェルノブイリ事故によって死亡した方々の人数も含まれています。

チェルノブイリ事故は大参事であり、この事故により数千人の犠牲者が出た・・という事実に反することを、
今もって全世界が信じ込んでいます。


チェルノブイリ事故による死者の数 今中哲二 http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/tyt2004/imanaka-2.pdf

2005 年9月ウィーンの IAEA国際原子力機関)本部で、チェルノブイリ事故の国際会議が開かれた。主催は、IAEA、WHO(世界保健機構)など国連8機関にウクライナベラルーシ、ロシアの代表が加わって 2003 年に結成された「チェルノブイリ・フォーラム」 (以下、フォーラム)であった。フォーラムは、この 20年間の事故影響研究のまとめとして、 「放射線被曝にともなう死者の数は、将来ガンで亡くなる人を含めて 4000 人である」と結論した[1]。この発表を受けて世界中のマスコミが「チェルノブイリ事故の影響は従来考えられていたより実はずっと小さかった」と報じた。

表2は、この間に発表された、いろいろなガン死数をまとめたものである。フォーラムの 4000 件が最低で、グリーンピースはその 20倍以上の9万 3000 件という値を出している。

これからは、 「今中さん、チェルノブイリ事故ではどれだけの人が死んだんですか?」と聞かれたら「いまの“私の勘”では、最終的な死者の数は 10万人から 20万人くらい、そのうち半分が放射線被曝によるもので、残りは事故の間接的な影響でしょう」と答えることにしよう。


緊急来日の米権威に原発直撃!「がっかり…IAEAを信じる」 - 政治・社会 - ZAKZAK http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110408/dms1104081619027-n1.htm

チェルノブイリでは多数の犠牲者が出た。事故から2、3年で約1000人が亡くなっているが、旧ソ連はその数分の一しか公表していない。約1万人ががんになり、現場で作業した人には二十数年間、子供が生まれていない」

■被曝許容量

世界の屋内退避、避難等の基準 http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/rb-rri/QA/kijyun.pdf

日常生活で受ける放射線 | 東北電力 http://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/shiryo/wastes/10.html
中部電力|一年間に受ける自然放射線 - 放射能放射線 http://www.chuden.co.jp/energy/nuclear/nuc_hosha/nuch_sizen/index.html

私たちは、宇宙や大地・食物などから放射線を受けながら生活しています。
こうした自然放射線を受ける量は1人あたり年間で約2.4ミリシーベルト(世界平均)です。


日本地質学会 - 日本の自然放射線http://www.geosociety.jp/hazard/content0058.html

屋外で計測される自然放射線量は、大地からの放射線量(上記マップ)と宇宙線による放射線量を合わせた値となります。日本の緯度における宇宙線による放射線量は約0.33 mSv/年(海抜 0m)と見積もられています(国連科学委員会(UNSCEAR)2000年報告書)。例えば、上記マップの赤で示された地域では、1.11 mSv/年(大地から) + 0.33 mSv/年(宇宙線から) = 1.44 mSv/年 以上の自然放射線量が見積もられます。


NEWSポストセブン|自然放射線の多いブラジル・ガラパリ 日本の6倍以上ある http://www.news-postseven.com/archives/20110401_16209.html

 さすがに報道でも指摘されるようになったが、自然界にはもともと多くの放射性物質放射線が存在する。これを自然放射線と呼ぶ。

 主なものは、放射性物質を含む大地からの放射線、宇宙から注ぐ宇宙線、前章で触れた食品に含まれる放射線や体内物質からの放射線、さらに放射性の気体であるラドンを呼吸することで受ける放射線などだ。

 世界平均で、年間2.4ミリシーベルトの被曝量があるとされる。

 特に自然放射線の多い地域として知られるのは、ブラジル南東岸のモナザイト岩石地帯である。ウランやトリウムを多く含む岩石のため、年間10ミリシーベルトもの被曝量がある。世界平均の4倍以上だ。

 1970年代から80年代にかけ、この地域では盛んに健康調査が行なわれたが、その結果は、リンパ球細胞などで染色体異常の起きる確率が他の地域より高いことは確認されたものの、生まれる子供の性比、先天性異常、流産、死産、乳児死亡、受胎率、出産率などは他の地域と差がなかった。

 同じようにモナザイト岩石地帯にあるインドのケララ州でも、年間10ミリシーベルトを超える自然放射線被曝をしている地域がある。しかし、ここでも大規模な健康調査の結果、他の地域との差はなかった。

 その他、ラジウム泉の影響を受けるイランのラムサールでも、がん発生率に差がないことが確認された。中国の陽江では、がんなどの発生率が変わらないことに加え、なぜか結核の死亡率が明らかに低いことが注目された。結核菌が放射線で死ぬのだろうか。真相は今後の調査が待たれる。

●世界の平均自然放射線被曝量

ブラジル(ガラパリ):10
インド(ケララ):5〜10
中国(陽江):6
アメリカ(デンバー):4
イタリア(ローマ):2.2
イギリス:2.2
日本:1.5

(単位はミリシーベルト/年。原子力安全年報など各種資料から本誌が作成)

週刊ポスト2011年4月8日号


IPPNWドイツの医学者が「日本政府の被曝対策は受け入れがたいほどひどい」と指摘(大貫 康雄) | DAILY NOBORDER http://no-border.asia/archives/20064

2014年04月02日
今年3月、被災地を訪れ、原発事故被害者と会い、実情を調べてきた「IPPNW(International Physicians for Prevention of Nuclear War)ドイツ委員会」の医学者・デルテ・ズィーデントプフ(Doerte Siedentopf)博士の自由報道協会での記者会見について、今も問い合わせが続いている。

そこで、あらためてこの欄で要点をお伝えする。博士は「日本の放射能被害者対策は受け入れがたいほど酷い。チェルノブイリ事故後の教訓を生かそうとしない」と厳しく指摘した。

(中略)

●年間被曝量が1m/Sv以下であるべきなのに、年間20m/Svにしているのは医学者として受け入れがたい。放射線量の計測も第3者が行うのでなく、業者任せというのは無責任。


クリス・バズビー インタビュー by 大野和基 http://globe-walkers.com/ohno/interview/busby.html

「日本政府がICRP(国際放射線防護委員会)の基準を盾にとって、『年間20mSv(ミリシーベルト)までの被曝は安全』と主張しているのは、言語に絶するほど間違っている。ICRPのリスク・モデルはもともと1952年に作られたもので、その基準は軍需産業が核実験を正当化するためのものです」

(中略)

それにICRPを信用してはいけない理由があります。'09年4月、私はスウェーデンストックホルムICRPの最高責任者の一人であるジャック・ヴァレンティン博士に会いました。彼こそがICRPのリスク・モデルを書いた張本人ですが、彼は私に、「ICRP内部被曝についてのリスク・モデルは間違っている」と認めたのです。彼はその際、内部被曝について「最大900倍ものエラー(過小評価)がある」と証言しています。

彼がそうした発言を始めたのは、ICRPを辞任したから。それで、ようやく「自分たちは間違っていた」と証言し始めたわけです。


2011年6月24日福島地裁郡山支部に提訴される郡山市教育委員会に対す
る仮処分請求に関するクリス・バズビー博士の声明 http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/110623Statement-BusbyJ.pdf

この件に関する簡潔な所見を以下に述べます。また結論として、ガンマ線外部被曝線量が汚染された地面から1m のところで1μSv/h を越える地域に居住している子どもと大人は即時非汚染地域に退避すべきと考えます。このレベルを越える外部被曝線量が存在する地域に子どもたちが居住しつづけることは、深刻な健康被害を被り、以後10年間で死ぬ可能性もあるでしょう。地表から1m で1μSv/h を越えるレベルに妊娠中の女性が被曝する場合は、その胎児の生存能力と赤ちゃんの生存能力と健康に深刻な影響を与えるでしょう。

(中略)

(4)ECRR 勧告は、一般人はだれでも、いかなる人工的プロセスによる発生源であっても、その発生源すべてからの年間総線量が0.1mSv を越える被曝をさせてはいけないというものです。


欧州放射線リスク委員会(ECRR)科学議長 「子どもの年間被曝量20mシーベルトは犯罪的で無責任」 - BLOGOS編集部 - BLOGOS(ブロゴス) http://news.livedoor.com/article/detail/5725347/

私は毎時0.1ミリシーベルトを越えたら避難したほうがいいと考える。

1963年、核実験がピーク時のヨーロッパの空気の放射線の数値と、今の福島の数値を比べると、福島はおよそ1000倍だ。そこにそのまま人が住み続けるとすると、福島第一原発から100キロ以内の地域で今後10年間にガンの発生率が約32%上昇すると言う計算結果が出た。


欧州放射線リスク委員会(ECRR)科学議長 「子どもの年間被曝量20mシーベルトは犯罪的で無責任」 - BLOGOS編集部 - BLOGOS(ブロゴス) http://news.livedoor.com/article/detail/5725347/?p=3

Q:今、日本の野菜の安全基準ヨウ素131が1キロあたり2000ベクレルだが、この数値をどう思うか?

博士:ヨウ素131に対しては、いい対応策があります。半減期が短いから、いったん保存しておいて、2〜3ヶ月でかなり数値が下がるので、それから売ればいいのではないか。全体として福島第一原発から200キロくらいの地域には、地域外から汚染されていない食品を入れる必要があると考えている。日本の2000ベクレルという基準だが、とんでもなく高い数値。できれば、0〜10ベクレルがいいと思います。


放射能汚染を巡る日本人の誤解と政府の説明責任――チェルノブイリの惨状を知る被曝治療の権威ロバート・ゲイル博士に聞く|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン http://diamond.jp/articles/-/11772?page=2

 たとえば、(日本政府は)現在、飲料水では放射性ヨウ素が1リットルあたり300ベクレルを超えると好ましくないというメッセージを国民に伝えている(乳児の規制値は100ベクレル)。しかし、この数値は何も目の前のコップに入った水を飲むと危険だということを示しているのではない。

 20杯飲んでも大丈夫なはずだ。その値以上の飲料水を5リットルほど毎日1年間飲み続けたら、ガンになる確率が1万分の1上がる可能性がわずかにある、ということだ。そういう説明を、自信を持ってできる人間が政府内にいないことが問題なのだ。


池田信夫 blog : 放射能と理性 - ライブドアブログ http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51733697.html

放射能と理性 なぜ「100ミリシーベルト」なのか [単行本(ソフトカバー)]ウェード・アリソン (著), 峯村利哉 (翻訳)

そこで著者は、放射線の被曝基準の規制緩和を提案する。ICRPが科学的根拠もなく決めた安全基準が50年以上も変わらないのは不合理だ。その後の研究の発展を踏まえて、慢性被曝の上限は100ミリシーベルト/月、生涯の被曝線量の上限としては5000ミリシーベルトとすることを彼は提言する。これでも科学的に安全な上限に比べると低いが、被災者の不安を減らし、エネルギー資源の効率的な配分を実現するには十分だろう。


日本の「被曝限度」は厳しすぎる:日経ビジネスオンライン http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20111012/223166/?P=1

オックスフォード大学で、40年にわたり、素粒子物理学を研究、指導してきたウェード・アリソン名誉教授が急遽、来日した。

 彼が日本の人々に伝えたいメッセージとは、「現在、日本が採用している放射線に対する安全基準は厳し過ぎるため、被害が拡大している」というものだ。彼は、「月間100ミリシーベルト」に設定し直すべきであると提言する。その根拠とは何か。また、安全基準を厳しく設定することの弊害とは何か。話を聞いた。

(中略)

現在、日本では、国際放射線防護委員会(ICRP)の安全基準に基づき、放射線量に関する国の安全基準を設定している。具体的には、1年間の被曝限度となる放射線量を、通常1ミリシーベルト未満、緊急時20ミリ〜100ミリシーベルト、緊急事故後の復旧時1ミリ〜20ミリシーベルトとしている。

 しかし、今回、避難区域の規定に使われたこの年間20ミリシーベルトという値はあまりにも厳しすぎる。その結果、福島の避難区域は大幅に拡大してしまい、本来、退去の必要のない大勢の住民が避難を余儀なくされている。


放射能を恐れすぎるな、フクシマの危機は過ぎた。 - BLOGOS編集部 - BLOGOS(ブロゴス) http://news.livedoor.com/article/detail/5699797/?p=7

今日、私の知る限りでは、(日本では)最初の1年で累積される放射線量が20ミリシーベルト以上であれば避難対象となるという基準が発表されています。この基準レベルは、国際的な勧告および科学的なデータにもとづき、50ミリシーベルト、もしくは、100ミリシーベルトという数値に設定しても問題にはなりません。100ミリシーベルト以上の地域に絞って避難対象としても問題ありませんし、まったく安全な数値です。

また、国際放射線防護委員会、先に名前のあがったICRPのことですが、同機関の勧告では、初年度の被ばく量が20ミリシーベルト以下であれば、措置を講じることも住民の生活に規制をしく必要もなく、20〜100の間であれば、もし必要と判断するのであれば、放射線量を低減するための措置をとることが推奨され、100以上であれば、かならず放射線量を低減する措置を講じなくてはならないが、それが必ずしも避難をしなくてはならないというものではない、と示されています。放射線量を低減させる対策は様々存在しますので、線量を下げることは可能です。ですので、どのような基準を設けるかがとても重要です。
科学の経験、世界中の科学的な経験からも、放射線被ばく量が100ミリシーベルト、(累積ではなく)瞬間的に、急激に浴びた被ばく線量が100ミリシーベルトという意味ですが、これによる健康被害や後遺症が報告された例は一つもありません。ICRPでは、健康被害が絶対に起こらないようにあえて数値を低く設定しており、推奨する100という数値は、100を超えたからといって、すぐさま健康に害を与えるという訳ではなく、さらに十分すぎるほどの余裕をもって100という数値を設定しています。健康にぜったいに被害を及ぼさない絶対的な安全を保障するというのがICRPの手法です。ですので、100以上は避難対象であるという訳ではないのです。

ロシアそして欧州諸国における現行の規制に関して言うと、これはIAEAの設定した基準にそったもので、ここでの強制避難の基準値は500ミリシーベルトと定められていました。今、ICRPの最新の勧告では、より人体への防護を強めたものと私自身は解釈していますが、100ミリシーベルトを超えないことが望ましいとしています。つまり、100ミリシーベルト以下であればいかなる健康被害も起こりえない、これは、全ての人々、つまり、子どもでも大人でも適用される数値です。もし20ミリシーベルト以上という基準を設定するとなると、これにより多大な問題が発生することが予想されます。大量の人々が避難対象となり、そうなると、社会的そして経済的な問題も発生してくるわけです。残念ながら、私たちもチェルノブイリを通して同様の経験をしました。当研究所の評価では、(今回の福島第一事故の影響で)最初の1年間で累積線量が100ミリシーベルトを超える住民の数は、6000〜7000人以内と推定しています。(クラスノフ氏の確認に応えて)1年間の累積線量が100ミリです。より詳細なことは、文部科学省およびその他の機関が知っていると思います。文部科学省には、大変すばらしい放射線量地図が存在します。