学問学習教育知性知能2

■あなどれない「手書き」の学習効果 - WSJ http://jp.wsj.com/articles/SB12748367622113273976104581644331252188072
2016 年 4 月 6 日 15:04 JST
 米プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者により、パソコンに打ち込むより手書きでノートを取る学生の方が総じて成績が良いことが判明した。同じくノートの取り方を比較した別の研究者の実験でも、タイピングよりも手で書く人の方が飲み込みが良く、情報を長く記憶し、新しいアイデアを理解するのにもたけていることが分かった。

(中略)

 研究者によると、ノートパソコンで授業のノートを取る学生は鉛筆やペンを走らせる学生よりも多くの量を記録し、容易に講義についていける場合が多い。パソコンを使う大学生はおよそ1分間に約33ワードのペースで講義ノートを取れるからだ。一方、手書きの学生は約22ワードがせいぜいだ。

 これは短期間ならば効果を上げる。米セントルイスにあるワシントン大学の研究者らが、2012年に学生80人を対象に実施した実験で講義の直後にテストを実施したところ、パソコンでノートを取っていた学生の方が手書きの学生よりも講義で話された事実を多く思い出し、点数がやや高かったという。

 ただ、こうした優位性は一時的だ。複数の研究によると、パソコンを使っていた学生は24時間後には記録した内容を忘れてしまうことが多かった。また、大量のノートを見返しても記憶を呼び戻すのにあまり有効ではなかった。それが非常に表面的だったからだ。

 対照的に、手書きでノートを取った学生は講義内容を長く記憶でき、1週間後でも講義で示された概要をよく覚えていた。専門家らは、書くというプロセスがより深く情報を記憶に焼き付けると指摘する。また、手書きのノートはよく整理されているため、復習にもより大きな効果を発揮する。

 ともに心理学者であるプリンストン大学のパム・A・ミュラー氏とUCLAのダニエル・オッペンハイマー氏は、2014年に行った3回の実験で、学生にアルゴリズムからコウモリまで幅広い話題を聞かせ、キーボードか手書きでノートを取ってもらった。学生にはノートを見て復習する機会を与え、講義直後と1週間後に67人にテストを実施した。

 両氏は心理科学の専門誌で、手書きでノートを取った学生が記録したワード数は少なかったものの、書く時に題材をより集中して考えたもようで、耳にしたことをより深く吸収したようだと述べた。

 半面、パソコンを使う学生は機械的にノートを取り、聞いたことを一語一句そのまま打ち込んでいた。

 問題はパソコンを使う人には逐語的にノートを取る傾向があることだ。キウラ氏は「皮肉なことに、速くノートを取れることこそが、ノートパソコンを使って記録取ることの魅力だが、逆にそのことが学習(効果)を台無しにしている」と述べた。


■『子供の貧困に関する新たな指標の開発に向けた調査研究』報告書(PDF版) - c3.pdf http://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/h28_kaihatsu/pdf/c3.pdf
ヘッドスタート計画314やペリー就学前教育315等の世界的に著名な研究によれば、子供の認知的到達度の格差は公教育入学時の 6 歳時点で明白であり、学校教育の効率性は、就学前教育に依存していることが示されている。また、40 歳時点での収入、持ち家率、生活保護の非受給率とも有意な関連があるとされている316(図表3-3)。このように、幼稚園等に就園し良質の就学前教育を享受することは、貧困の予防にもつながると考えられる317。

(中略)

世帯の所得と子供の学力には明確な関連があることが、以下のように数々の調査研究から示されている。

(中略)

さらに、世帯類型も子供の学力と関連があるとされている。文部科学省「2013年度全国学力・学習状況調査」の分析から、ひとり親家庭であることは、正答率に対して負の効果をもたらすことが示されている325。この点については、PISA2000を分析した結果からも同様の結果が得られており(図表 3-8)、ひとり親家庭であることが学力(読解力)に対して負の効果を持つことが確認されている326。


■平均年収1400万円、「開成・灘」卒業生とは何者か | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online http://president.jp/articles/-/21720
矢野氏は社会学者らの手による「社会階層と社会移動全国調査」のデータを用いて、常用一般労働者(男子60歳以下)の所得が何によって決まるのかを、学歴、年齢、所得、それに中学校時代の成績というデータを用いて調べた。その結果、中学3年時の成績が上位でも、中位でも、下位でも、大卒の収益率にほとんど差がないことが明らかになった(※2)。

たとえば、中学時代の成績が芳しくなく、選抜性が高いとはいえない大学に進学したとしても、進学せずに高卒として働いている者より恵まれた年収を得ることができており、具体的にその額は3割ほど増加する。成績の良し悪しにかかわらず、誰でも勉強すれば報われることが、ここには表れている。


■子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右する:大規模調査 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/10/ok-11.php
調査では、16歳の時に自宅に何冊本があったか、と参加者に質問。その後、読み書き能力、数字、情報通信技術(ICT)のテストを受けてもらった。

その結果、本がほぼない家庭で育った場合、読み書きや算数の能力が平均より低かった。自宅にあった本の数とテストの結果は比例し、テストが平均的な点数になるのは自宅に80冊ほどあった場合だった。ただし350冊以上になると、本の数とテスト結果に大きな関係性はみられなくなったという。

本に囲まれて育った中卒と本がなかった大卒が同じ学力
さらに、最終学歴が日本で言うところの中学卒業程度(13〜14歳)であっても、たくさんの本に囲まれて育った人は、大人になってからの読み書き能力、算数、IT能力が、本がほぼない家で育った大卒の人と同程度(どちらも全体の平均程度)だということが分かった。読み書きや数学の基礎知識において、子どもの時に本に触れることは教育的な利点が多いと研究者たちは述べている。

興味深いのは、「言葉の読み書き」(いわゆる文系の能力)と「数字」(いわゆる理系の能力)が別物だと考える人が多いと思われる中、今回の調査では、自宅に多くの本があると、このどちらも強化することがわかったということだ。

(中略)

研究者らは、本がもたらす利益は世界的に一貫しており、教育水準や、大人になってからの仕事、性別、年齢、両親の教育水準とは無関係だったとしている。データが最も詳細にわたって取れたオーストラリアを例にとっても、裕福さやIQ、学校の成績などを調整した後のデータでも同じ傾向がみられ、研究者らは、どのデータを考慮して調整した場合でも、「本に囲まれて育つことには利点があるという結果が出た」としている。


■待機児童を生み出す「保育園社会主義」 「保育バウチャー」で個人を支援する制度に | JBpress(日本ビジネスプレス) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46315?page=3
人間の脳は3歳ぐらいまでに回路ができ、教育の効果は8歳がピークだといわれる。小学校で成績のよかった子は、たいていその後も成績がいい。


本を読むときに頭の中で「声」が聞こえる人と聞こえない人がいることが判明 - GIGAZINE http://gigazine.net/news/20160225-read-voice-in-head/
なお、発達心理学の分野では、頭の中で自問自答して物事を抽象的に考えられるようになるのが9〜10歳頃と言われていますが、幼少期の自由な遊びや会話が抽象的な思考の基礎となると考えられています。幼少期の経験不足が原因で9〜10歳頃に突然学習が進みにくくなる現象が「9歳の峠」や「10歳の壁」と呼ばれており、特に聴覚障害児は10歳以降の学習が困難になる、と以下の書籍に詳しく記されています。


■試験直前にやるべきことは? 感情のコントロールが受験必勝の鍵 http://sciencenews.co.jp/2016/02/17/post-994/
 テストでの緊張感を解くことが、成績につながることを確かめた研究がある。

 学術雑誌Scienceに以前載った論文で、方法はとても簡単。試験直前に湧き上がる不安を、紙に書きとめるだけだ。たったそれだけで緊張がほぐれ、試験の成績は劇的に向上した。

(中略)

 トルコの大学が行った研究によれば、試験に対して感じる不安は個人差が大きく、中でも年齢や性、両親の学歴、社会的経済的地位、兄弟数などが関わっている。

 例えば女子のほうが男子より不安感が強く、また兄弟の数が多い人ほど不安を感じる割合が大きかった。

 反対に不安感の少ない生徒は、自分のことを幸せだと感じるなど、自己肯定感が強かった。またボランティアやクラブなどに積極的だという特徴が見られた。


■【プログラミングは義務教育化すべきなのか?】という問題を考えてみた - paiza開発日誌 http://paiza.hatenablog.com/entry/2015/07/27/%E3%80%90%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AF%E7%BE%A9%E5%8B%99%E6%95%99%E8%82%B2%E5%8C%96%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F%E3%80%91

小学低学年へのプログラミング教育には効果がないと考えたほうがいい - きしだのはてな http://d.hatena.ne.jp/nowokay/20160106

プログラミングをはじめるのは何歳から?という話し - Togetterまとめ http://togetter.com/li/832146


■世界の建築は今 - No.85 ブック・マウンテン - KENCHIKU http://kenchiku.co.jp/world_archive/085/index.html
オランダ西部にあるサウス・ホランド州のスパイケニッセ市。人口75,000人ほどのこの街に、MVRDVがユニークな図書館をデザインした。「ブック・マウンテン」と呼ばれる建物は、文字通り“本の山”というように、寄棟の屋根形だが妻側から見ると、山のごときシャープな峰が屹立しているように見える。
さてこの図書館、スパイケニッセのこのエリアでは文盲率が10%にも及び、読書を助長するためにデザインされたもので、視覚的に目立つ存在はコミュニティにとって大きな意義をもっている。ガラス張りのスキンの内側には、それこそ本物の“本の山”があるのだ。


ジョブズは自分の子どもにiPhoneiPadを使わせなかった - withnews(ウィズニュース) http://withnews.jp/article/f0141020001qq000000000000000G0010901qq000011003A
 それからビルトン記者が「子どもとハイテク機器」に注目して取材してみると、米国のハイテク企業やベンチャー企業の幹部の多くが、家庭ではジョブズと同じようなことをしていたことが分かったそう。

 ツイッター創設者の起業家エバン・ウィリアムズ、雑誌ワイアード前編集長のクリス・アンダーソンフェイスブックのアドバイザーをしているアリ・パルトビ・・・。彼らやその妻は、自分の子どもがハイテク機器の画面を見る時間を厳しく制限し、翌日に学校がある晩はまったく使わせなかったり、週末でもアクセスできる時間を禁欲的に制限したりしているといいます。


■これがグーグルの採用術だ!「学歴は関係ない」人事トップが語った10の鉄則(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュース http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20150520-00045877/
米紙ニューヨーク・タイムズの著名コラムニスト、トーマス・フリードマン氏によると、グーグルの社員の半数は大学の学位を持っていない。


■珍種?「東大女子」はいかにして育ったか | ママは東大卒 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト http://toyokeizai.net/articles/-/49158?page=5
実は、今回アンケートを取った東大卒ママ70人のうち、7割にあたる49人が専業主婦家庭で育っています。これに対し、自身が専業主婦なのはわずか6人。もし、母親が専業主婦になって子どものしつけや好奇心を育てることで、子どもが高学歴を得ているのだとしたら、共働き率が非常に高い今の東大卒ママたちの子どもは、親を超えられないのでしょうか。


■子供の学力、遺伝の影響が50%? | R25 http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/wxr_detail/?id=20151016-00045328-r25
総じていうと、英語力をはじめとする学力は、生まれついての遺伝が5割。のちの勉強によって得られる学力は5割程度だといえます」

もちろん、科目や調査項目によって多少の差はある。たとえば、リスニング能力には遺伝の影響がほぼ見られないため経験の差が出やすい傾向があり、文法力の方が遺伝の占める割合が高いことがわかった。興味深いのは、英語を学ぼうとする「意欲」についても、二卵性双生児では類似性が見られないのに対し、一卵性双生児では明らかな類似性が見られたこと。つまり、英語の能力や成績だけでなく、英語に興味を持ったり、積極的に勉強しようとしたりする姿勢にまで、遺伝の影響が表れていたのだ。

「この話を一般化すると、教育方法などの環境が異なれば、能力の違いは出てくる。ただし、遺伝的な素質というものもやはりあるということ。そして、英語力の場合は、能力が高い人は文法を中心に勉強した方が伸び幅が大きいけれど、能力が低い人はそうでもない。むしろ会話式で何回もゲームをやった方が、覚えが早くなるという結果が出ています。遺伝的な素質が違えば、効果的な教育方法も変わってくるのです」


あなたがリベラルか保守かは、「気持ち悪い写真」に対する脳の反応でわかる(研究結果) http://www.huffingtonpost.jp/2014/12/30/maggots-reveal-liberal-or-conservative_n_6395006.html
ただし、モンタギュー教授によると、遺伝子が政治的な考え方に及ぼす影響は固定的なものではなく、ちょうど「身長の遺伝」と同じようなものだという。つまり、「人の身長は遺伝によって決まるが、遺伝だけで決まるわけではない。人の最終的な身長は、栄養や睡眠、飢餓などで変わりうる。とはいえ、背の高い人の子供はやはり背が高い傾向があり、そこが出発点になると考えてもいいだろう」とのことだ。


環境よりも遺伝?子どもの知能指数に親のしつけはほとんど影響しないことが判明(米研究) : カラパイア http://karapaia.livedoor.biz/archives/52177841.html
ビーバー教授らは、「National Longitudinal Study of Adolescent Health(全米青少年の健康に関する長期的研究)」のデータのうち、全国を代表するサンプル5,500〜7000件から選んだ養子ではない若者と、250〜300件のサンプルから選んだ養子の若者を対象に、IQテストであるピーボディ絵画語彙検査(PVT/絵や写真を見せながら行う語彙力のテスト)を実施。

 同検査の1回目を対象者が中高生(13歳から18歳)のときに、その後2回目は彼らが18歳から26歳になった段階で行った。さらに、調査対象者の両親の育児に関する行動についても分析した。

 その結果、親による読み聞かせや積極的な会話などの行為が、子どもの後年のIQに目立った影響を及ぼしたという証拠は見つけられなかったという。

 ビーバー教授は、「過去の研究結果で、親のしつけが子どもの知能の発達に影響するとされたのは、そもそも読み聞かせなどを行う親には知能の高い人が多く、遺伝的な要素が隠されていたと考えることができます」と語った。


全文表示 | 天才は「生まれ」か「育ち」か 努力も遺伝の影響だとすると... : J-CASTニュース http://www.j-cast.com/2014/09/23216302.html?p=all
2014年6月、『Psychonomic Bulletin & Review』に掲載された新しい研究結果によれば、「すぐれた音楽家は、その技能を獲得するために必要な長時間の練習ができるよう遺伝子にプログラムされている」という。米ミシガン州立大学心理学教授のザック・ハンブリック氏らによって発表された。

(中略)

ハンブリック氏らは、名人級の音楽家は普通の音楽家よりもはるかに多く練習しているという調査結果を得た。そのうえで双生児法を用い、「より多くの練習を行う傾向は遺伝の影響も受けている」という結論に至った。


ハーバード大教授「崩壊したアイビーリーグを立て直せるのは学力テストだけ」|Kodai Kusano|note https://note.mu/kodaikusano/n/na0eec44b0e27
マット・マグーは、さらに、青年期のテストの点数は、養子の親(養子に出された子供達の)ではなく、生みの親の経済的地位だけと関連している、というデータを提示している。つまり、これらの点数を追ってみると、共有された遺伝子を反映しているものであり、経済的な特権ではないことがわかる。


母乳育児推進の問題点――粉ミルクは本当に悪いのか!? / 森戸やすみ / 小児科専門医 | SYNODOS -シノドス- https://synodos.jp/science/15855
母乳で育てられた子どもは成人してから知能レベルが高く高収入であるという研究論文が、イギリスの権威ある医学雑誌『ランセット』に掲載されました(※3)。ブラジルで新生児約3500人を30年間追跡調査したもので、30歳の時点でIQが約4ポイント高く、収入は1か月あたり約1万3千円多かったというものです。
(※3)Bernardo Lessa Horta Lancet Glob Health. 2015 Apr;3(4):e199-205. doi: 10.1016/S2214-109X(15)70002-1.
しかし、反論もあります。ロンドン大学の研究で一卵性双生児11000人が協力したものです(※4)。母乳育ちと粉ミルク育ちの子に分け、IQを測定したところ2歳の時点で女児には有意差があったようですが、16歳には男女ともその差が消失したとのことでした。つまり、現時点で「母乳育児でIQが高くなる」とするのは不適切でしょう。
(※4)von Stumm S PLoS One. 2015 Sep 25;10(9):e0138676. doi: 10.1371/journal.pone.0138676. eCollection 2015.


母乳と子どもの知能指数との関係、より明確に - WSJ http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424127887323670304578637010204864232
2013 年 7 月 30 日 16:23 JST

 母乳を与える期間が長いほど、子どもがより賢くなるようだ。これは、米医師会が発行する医学誌「JAMA Pediatrics(小児科学)」に29日掲載された論文の結論だ。

 多くの点で、この論文は母乳育児の支持者を驚かせるものではなかろう。彼ら母乳支持者は長年、母乳育児と知力との関係を自明とみなしており、その主張の裏付けとなる論文が1つ増えただけだ。

 これに対し、母乳育児と知力の関係を懐疑的に見る人々は、知力に最も関係があるのは母親の賢さだとの見方になお固執し続ける公算が大きい。彼ら懐疑派はまた、母乳育児を求める社会的な圧力自体が親を疲弊させ、ひいては子どもの発達に問題をもたらしかねないとなお主張し続けるだろう。

 しかし今回の論文は、母乳育児の比率を上げるために取り組んでいる公衆衛生当局者を力づける可能性が高い。米疾病対策予防センター(CDC)によると、母乳育児の比率は子どもの誕生時には75%前後だが、1歳の誕生日を迎える頃には平均25%にまで落ち込む。

 授乳と知力との関係を調べたのは今回のJAMAに掲載された研究が初めてではない。だが、研究チームはこの論文には、より説得力があるとしている。調査の規模や母親の知能指数(IQ)、子どもの育て方などの可変要素を排除する方法といった観点からだ。論文の主執筆者でハーバード大学医学大学院の助教(小児科)を務めるマンディ・ベルフォート博士によると、以前の研究では、子どものIQに影響をもたらし得るその他の要素を調整するのが難しかった。また、調査対象の数が少なすぎたり母乳育児の期間を考慮に入れていないなどの難点があった。

 今回の研究では、何冊の本が入手可能かといった要素に基づいて子どもの環境を評価し、それぞれの母親のIQを調べた。これに加え、IQに影響をもたらし得る要素、例えば保育状況、収入、親の学歴などに関する詳細な質問も行った。その後、研究チームは統計的モデルを用いてこういった要素を取り除いた。ベルフォート博士は「この結果が授乳とIQとの真の関係」を示すと信じていると述べた。

 同博士によれば、母乳育児についてランダム(無作為)化すること、つまり母乳育児グループとそうでないグループに分けて実験するのは難しい。一部の子どもを母乳を与えないグループに入れるのは非倫理的だからだ。このため、研究者の選択肢は同博士が行ったような観察的な研究に限られる。

 この研究では、ボストン小児病院の研究チームが1999年から2010年まで、1312人の子どもとその母親を追跡した。チームは1歳の誕生日を迎えた時点でどのくらい多くの子どもが母乳を飲み続けているかを調べ、その後、3歳と7歳になった時に知能検査を実施した。

 知力には、生まれつきと育った環境が相まって奇妙な影響を及ぼすため、そこから1つの要素を抜き出すのは難しい。母乳育児はまずもって母親の階級や経済的な豊かさと大いに関連しており、より豊かで高学歴な女性は母乳育児の実践を選択する傾向にある。

 3歳のときに受容言語(聞いて分かる言葉)について調べたところ、誕生から1年後に母乳を飲み続けていた子ども(母乳群)のスコアは、粉ミルクで育った子ども(粉ミルク群)のそれを上回った。つまり、母乳群は何を言われているかを粉ミルク群より理解していたということだ。7歳児に行った言語性検査と非言語性検査でも母乳群のスコアの方が高かった。

 3歳児の検査では、母乳育児の期間が1カ月増えるにつれて、IQのスコアが平均0.21ポイント上がっていた。また7歳児の検査では、母乳育児の期間が1カ月増えるにつれて、言語性のIQが0.35ポイント、非言語性のIQが0.29ポイント上がっていた。ベルフォート博士によれば、母乳育児を1年間続けた子どものIQは、そうでない子どものIQを約4ポイント上回った。IQの平均が100前後であるだけにこれは有意な差だ、と同博士は指摘する。ここで言う母乳育児を1年間続けた子どもとは、食事の一部として母乳の摂取を続けた子どもを指す。生後6カ月前後に離乳食を始める前に母乳のみを与えられていた子どものスコアはさらに良かった。

 ベルフォート博士は「個々人に焦点を当てると、2ないし3ポイントのIQの差を見分けるのは難しいが、社会全体では大きな問題になる」と述べ、IQを全体的に底上げできるのであれば、補習授業に費やさなければならない支出が減るかもしれないと指摘した。

 これに対し、skepticalob.comというブログの著者である産科医のエイミー・チューター博士は、母乳群のIQが4ポイント高かったという結果に納得していない。同博士は、それがただの偶然による変動でないことを証明するには、もっと大きな差が必要だと指摘する。同博士は「知力は多元的であり、1つのことが直接大きな差をもたらし得るという考え方には賛同できない」と述べ、「米国人のIQは徐々に上がっている。母乳育児の比率が下がったときも上がったときも、IQは上がっていた」と付け加えた。